
BC099 論文を書くとはどういうことか
10/08/24 • 58 min
今回は「論文を書くとはどういうことか」をテーマに、論文についての二冊の本を紹介しました。
それぞれ独自の魅力を持つ二冊です。
書誌情報
『論文の書きかた (ちくま学芸文庫 サ-55-1)』
著:佐藤健二
佐藤 健二(さとう・けんじ):1957年、群馬県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中途退学。東京大学名誉教授。博士(社会学)。専攻は、歴史社会学、社会意識論、社会調査史、メディア文化など。著書に、『読書空間の近代』(弘文堂)、『風景の生産・風景の解法』(講談社選書メチエ)、『流言蜚語』(有信堂高文社)、『歴史社会学の作法』(岩波書店)、『社会調査史のリテラシー』など。
出版社:筑摩書房
出版日:2024/5/11)
目次
第1 章 論文とはなにか
第2 章 「論」と「文」の結合
第3 章 〈文〉で論ずることの厚み
第4 章 主題・問題意識・問題設定
第5 章 通念の切断と思考の運動
第6 章 観察と対話の組織化
第7 章 調査研究のさまざまな局面
第8 章 2 項対立のあしらいかた
第9 章 リレーショナル・データベースとしての社会
第10 章 「クダンの誕生」の経験をふりかえる
第11 章 リテラシーの発見
第12 章 読書空間のなかで書く
第13 章 コピペと引用の使いこなし
第14 章 見えかたをデザインする
第15 章 研究倫理の問題
第16 章 編集者として見なおす
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』
著:阿部幸大
日本の文学研究者。筑波大学人文社会系助教(2024年時点)。北海道出身。
出版社:光文社
出版日:2024/7/24
目次
原理編
第1章 アーギュメントをつくる
第2章 アカデミックな価値をつくる
第3章 パラグラフをつくる
実践編
第4章 パラグラフを解析する
第5章 長いパラグラフをつくる
第6章 先行研究を引用する
第7章 イントロダクションにすべてを書く
第8章 結論する
発展編
第9章 研究と世界をつなぐ
第10章 研究と人生をつなぐ
演習編
『論文の書きかた (ちくま学芸文庫 サ-55-1)』
本書は「論文を書くとはどういうことか」をさまざまな角度から論じていく一冊で、その場しのぎに論文を書き上げるためのテクニックではなく、研究活動の一環に論文の執筆をおき、その中でいかに研究を進めるのか=論文を書くのかが検討されていきます。
重厚な論述であり、著者の思考が垣間見れる面白さもあり、話題が枝葉のように広がっていて、それらがいちいち楽しめる魅力も持ち合わせています。
個人的には「文」に注目した論考が心に残りました。自分なりにまた展開させていきたいと感じます。
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』
きわめてテクニカルでプラクティカルな一冊。それでいて著者の熱さも伝わってきます。「まったく新しい」という看板に偽りはありません。
一冊目の本に比べると重厚な論述感は小さいものの、シャープで説得的な論考は一気に引き込まれます。でもって、アドバイスが非常に役立つ。学術寄りの知的生産を行うなら必携の一冊でしょう。
こちらも単に表面的なノウハウを提示して終わりにするのではなく、論文を書くときに必要な「頭の使い方」を提示してくれている点が魅力です。
個人的には、本編でも語ったようにアカデミックではないライティングの方向性を検討してみたいと思います。
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今回は「論文を書くとはどういうことか」をテーマに、論文についての二冊の本を紹介しました。
それぞれ独自の魅力を持つ二冊です。
書誌情報
『論文の書きかた (ちくま学芸文庫 サ-55-1)』
著:佐藤健二
佐藤 健二(さとう・けんじ):1957年、群馬県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中途退学。東京大学名誉教授。博士(社会学)。専攻は、歴史社会学、社会意識論、社会調査史、メディア文化など。著書に、『読書空間の近代』(弘文堂)、『風景の生産・風景の解法』(講談社選書メチエ)、『流言蜚語』(有信堂高文社)、『歴史社会学の作法』(岩波書店)、『社会調査史のリテラシー』など。
出版社:筑摩書房
出版日:2024/5/11)
目次
第1 章 論文とはなにか
第2 章 「論」と「文」の結合
第3 章 〈文〉で論ずることの厚み
第4 章 主題・問題意識・問題設定
第5 章 通念の切断と思考の運動
第6 章 観察と対話の組織化
第7 章 調査研究のさまざまな局面
第8 章 2 項対立のあしらいかた
第9 章 リレーショナル・データベースとしての社会
第10 章 「クダンの誕生」の経験をふりかえる
第11 章 リテラシーの発見
第12 章 読書空間のなかで書く
第13 章 コピペと引用の使いこなし
第14 章 見えかたをデザインする
第15 章 研究倫理の問題
第16 章 編集者として見なおす
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』
著:阿部幸大
日本の文学研究者。筑波大学人文社会系助教(2024年時点)。北海道出身。
出版社:光文社
出版日:2024/7/24
目次
原理編
第1章 アーギュメントをつくる
第2章 アカデミックな価値をつくる
第3章 パラグラフをつくる
実践編
第4章 パラグラフを解析する
第5章 長いパラグラフをつくる
第6章 先行研究を引用する
第7章 イントロダクションにすべてを書く
第8章 結論する
発展編
第9章 研究と世界をつなぐ
第10章 研究と人生をつなぐ
演習編
『論文の書きかた (ちくま学芸文庫 サ-55-1)』
本書は「論文を書くとはどういうことか」をさまざまな角度から論じていく一冊で、その場しのぎに論文を書き上げるためのテクニックではなく、研究活動の一環に論文の執筆をおき、その中でいかに研究を進めるのか=論文を書くのかが検討されていきます。
重厚な論述であり、著者の思考が垣間見れる面白さもあり、話題が枝葉のように広がっていて、それらがいちいち楽しめる魅力も持ち合わせています。
個人的には「文」に注目した論考が心に残りました。自分なりにまた展開させていきたいと感じます。
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』
きわめてテクニカルでプラクティカルな一冊。それでいて著者の熱さも伝わってきます。「まったく新しい」という看板に偽りはありません。
一冊目の本に比べると重厚な論述感は小さいものの、シャープで説得的な論考は一気に引き込まれます。でもって、アドバイスが非常に役立つ。学術寄りの知的生産を行うなら必携の一冊でしょう。
こちらも単に表面的なノウハウを提示して終わりにするのではなく、論文を書くときに必要な「頭の使い方」を提示してくれている点が魅力です。
個人的には、本編でも語ったようにアカデミックではないライティングの方向性を検討してみたいと思います。
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BC098 『ATTENTION SPAN(アテンション・スパン) デジタル時代の「集中力」の科学』
面白かった本について語るPoadcast、ブックカタリスト。
今回は、『ATTENTION SPAN(アテンション・スパン) デジタル時代の「集中力」の科学』について語りました。
スマホの登場によって、私たちにどんな変化が起こっているのか。
iPhoneが出たばかりの頃の自分は、それによるよい変化にしか注目していませんでしたが、最近はそこから起こる「よくないこと」にも注目するようになってきました。
特に、スマホという「最強の暇つぶしツール」を手に入れた我々は、いつのまにかほんのわずかな時間の退屈を耐えることができなくなり、結果的にこれまで以上に「退屈」という問題に悩まされるようになっている。
そんな問題意識を持って、この本を読んだ印象です。
自分が変わったなあ、と思うのは、こういう「〜について考えるためにこの本を読もう」みたいな観点で本を選ぶことができるようになった、ということです。
自分の読書力が上がったかどうかは、客観的に評価する手段はないんですが「気になってることを考えるために本を読む」ことがきちんと言語化できるようになったというのは、明確に進歩だと思います。
これは、ちゃんと他人に誇れる変化。
なんだかんだもう、100回近くもずっと本について話してたら、なにか変化はあるよね。それを身をもって体験できたことは大きいです。
ブックカタリスト100回記念イベント
というわけで、詳細はまたお送りする予定ですが、まもなく到達するブックカタリストの100回を記念して、東京のどこか(東京駅近辺の予定)で、100回到達記念イベントを行う予定です。
テーマは「ブックカタリストの語り方(仮)」
開催日は、11月17日の午後から夜にかけて。
詳細が決まり次第、またご連絡いたします!
今回出てきた本はこちらで紹介しています。 📖ブックカタリストで紹介した本 - ナレッジスタック - Obsidian Publish
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BC100ブックカタリスト・ビギンズ
記念すべき第百回は、いつもと趣向を変えて二人の読書の略歴を語ってみます。
二人が紹介した本は
......。
出てきた本をぜんぶ列挙しようとしたんですが、あまりに数が多くなったのであきらめました。
倉下は赤川次郎『三毛猫ホームズの推理』からスタートするミステリ系統を出発に、神坂一『スレイヤーズ!』から始まるライトノベル・SF・異世界転生もの系統、野口悠紀雄 『「超」勉強法』から始まるノウハウ・自己啓発系統、村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』から始まる文学・ハードボイルド系統が、青年期の読書を構成していました。
事前のメモではそれくらいでだいたいカバーできていると思ったのですが、大学時代はプログラミング言語の本を読み漁っていましたし、コンビニ店長時代では経営学・経済学の本にも手を伸ばしていました。これらも系統ではあるでしょう。かなり多岐にわたっています。
ごりゅごさんはむしろもっと限定的で『三国志』ものを契機に歴史物を中心に読んでおられて、途中潜伏期間があった後、Obsidianによるノーティング技術の向上およびブックカタリストのスタートを契機にして再び読書欲が盛り上がってきたというお話でした。
その一つの契機に「インターネットが未来をワクワクさせてくれるというビジョンがあった」という話は非常に印象的だと感じます。人を本を読む気にさせるものは、やはりそういうワクワク感なのでしょう。「知的好奇心」と言ってしまうとあまりにも漠然としますが、読書というのは平静・冷静な知的活動ではなく、ある種のワクワク感に駆動されるドライブなのだと思います。
読書に歴史あり
そんな風にそれぞれの人にはそれぞれの読書の経歴があります。歴史と呼んでもよいでしょう。
私が今、一冊の本と対峙するとき、その背後には常に私の歴史が蠢いています。その本を読みたいと思うかどうか、読んだ後どう評価するか。そうした反応は歴史に由来するわけです。
だから同じ本でも読みたいと思うかどうか、面白いと思うかどうかは人によって違ってきます。個性による違いというよりも、歴史による違いなのです(あるいは、個性とはそれぞれの人の歴史である、とも言えるでしょう)。
広義で言えば、読書はたしかに「インプット」な活動です。でも、その表現では「歴史」の感覚が立ち上がってきません。均質的ではなく、個別的な活動。一度きりではなく、連続性のなかにある活動。それが読書です。
だから、「本を読むことは、本を読み続けることである」なんてことが言えるかもしれません。
ぜんぜん関係ないですが
二人の読書の歩みはまったく違っているのに、人生の歩み方においてすごく重なる部分があることが今回わかりました。
しかし、考えてみれば、本当になにもかもがまったく違っているならば、こうして二人でポッドキャストをしていることはなかったでしょう(政府が命令して無作為に選んだ二人にポッドキャスト運営を強制しないかぎりは)。重なる部分があるからこそ、活動を同じくしている。でも、多くの部分で違いがある。
たぶん組み合わせというのは、そういう感じのときうまくいくんじゃないかな、なんて思います。
皆さんも自身の読書のヒストリーを振り返り、自分のヒストリーで語ってみてはいかがでしょうか。
ご意見・ご感想はコメントおよびTwitter(現X)、Blueskyのハッシュタグ#ブックカタリストにてお待ちしております。
では、今後もブックカタリストをよろしくお願いします。サポータープランへのご加入も、ご検討くださいませ。
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